2017年1月13日追記

エンジニアと法律というテーマでは損害賠償や瑕疵担保責任等の民法に関わる話が殆どですが、
あえて刑法に関わるテーマで執筆させて頂きたいと思います。

弊社は実績にも公開している通り、アダルトサイト制作や風俗店サイト制作を引き受けています。
制作会社の中には、こういった分野の業種を何も聞かずにお断りしている事が多いようです。

企業イメージが損なわれる事も勿論ですが、アウトローな方が多いのでは?と懸念される経営者が多いでしょう。
これは事実で、実際に違法と思える依頼も舞い込んできます。
何も考えず目先の報酬に目が眩んで引き受けてしまうと、エンジニアも知らなかったでは済まされない、刑事責任を追求されてしまうケースが有りますので事例と共に紹介致します。

リセットボタンを実装する事で脱税幇助

風俗店やクラブ等で強制の税務調査等が入った際に、帳簿を消されて証拠隠滅に加担してしまう恐れが有ります。お金に関する事を簡単にデータを抹消する必要性が通常真面目に運営していれば有り得ない話です。

又「データをUSBに保存できて、ハードディスクには残りません」という機能も「脱税を幇助しますよ」という意味でしょう。

アクセスアップツールの開発で業務妨害罪

例えばアメブロやポータルサイトにはアクセスランキング機能が有って、高いアクセス数のサイト程上位に表示される優遇措置を取っているサイトは多く存在しています。
BOT等を使ってアクセス数の水増しを図る事で、アクセスランキング運営元の正常な業務を妨害したと判断できます。但し実際に検挙に至るかは恐らくアクセスが余りにも多く、多大な負荷が掛かっているケースに限られてくるとは思います。

電話帳データを抜き出すプログラムで不正指令電磁的記提供罪

The Movie というAndroidアプリをご存知でしょうか。映画が無料で観れる何とも太っ腹なAndroidアプリです。
実はユーザーが映画を鑑賞中に、バックグラウンドで電話帳のアドレスデータを抜き出し、
攻撃者のサーバにPOSTしてしまう機能が隠されています。

この事件で開発したエンジニアが不正指令電磁的記提供罪で逮捕されています。
いわゆる、コンピュータウィルス作成罪の事で、ユーザーの意図しない動作をさせ不利益を被らせる事で成立します。

但し、Androidアプリではインストール時にパーミッション表示を行いますので忠告しているとも受け取れますが、社会通念上これは通用せずに、当然のごとく犯罪に加担してしまったと言えます。

出会い系サイトにサクラ機能を実装して詐欺幇助

あえて説明する程の事でも有りませんが、サクラ機能を実装すれば架空の人物と会いたいと思ったユーザーが必死に課金してお金を消費してしまう事は明らかです。
実際に詐欺に使われると知りながらも、出会い系システムを提供した会社が詐欺の幇助で逮捕されています。

無修正AVの配信で猥褻電磁的記録等送信頒布罪

無修正のアダルトビデオを配信すれば、日本国では猥褻物と見なされ、摘発される事は明らかですよね。
エンジニアが直接関わるという案件ではないかもしれませんが、海外のサーバーに設置するという行為自体、
暗黙的に無修正のアダルトビデオを配信する事は想像するに難しくないケースですので、幇助として検挙される可能性が有ります。
無修正わいせつ動画を公開の疑い 制作会社社長ら逮捕